24.訳出⑦

今回も神田電機東京工場、プラント見学の日本語から英語への訳出です。担当者がお客様にプラント見学にあたっての注意事項を説明しています。工場見学では一体どのような注意事項があるのでしょうか。

「当プラントでは見学者の安全を確保するためにヘルメットの着用が義務付けられています。見学中は、製品や設備にはお手を触れないようお願いいたします。プラント内での写真撮影は禁止となっております」

まずは、「義務付けられている」の表現から確認していきましょう。「~しなくてはいけない」のだから You have to wear the helmetでもいいかな、と思った方もいるかもしれません。You have to (do) には「命令」または「押しつけがましいアドバイス」というニュアンスがあります。

通常、各プラントは、従業員や来場者の安全確保のために、国交省などからの法令によって安全対策の実施が義務付けられています。言い換えれば、ヘルメットの着用なしに工場見学は出来ないわけですから、「規則」という客観的事実に基づいて「~しなければならない」の意味になるYou need to wear the helmet の方が自然な英語表現です。または、You are required to wear the helmet と安全確保のために有無を言わさないという感じでrequire で表現してもいいと思います。

次に「お手を触れないよう」の表現ですが、Don’t touch any products or equipment. と通訳するのはどうでしょう。「勝手に触るな!このボケ」って言われてるみたいですよね。オリジナルの日本語でも「お手を触れぬよう」という柔らかく相手に禁止事項を述べています。ここは「~することを控える」の意味になる refrain from~ing の表現にしてみましょう。

次に「プラント内での写真撮影は禁止となっております」の部分です。基本、工場見学では不特定多数の人が見学しても大丈夫なエリアだけを来場者に見てもらうので、会社の存続に関わるような機密的なエリアは見せないものですが、「写真撮影禁止」となっているプラントもあります。

この日本語を通訳するのに、先ほどのrefrain from taking pictures と通訳するのはどうでしょうか。オリジナルの日本語では「禁止」という色で表現すると黄色と黒が使われそうなニュアンスの表現になっています。つまり、「お控えください」のレベルではなく「絶対にしないでくれ」という意味合いですから、prohibit などの強めの表現を使ってみましょう。

You are required to wear the helmet for your safety in this plant. During the tour, please refrain from touching any products or equipment. Taking pictures is prohibited. Thank you for your cooperation.
 25. 訳出のコツ へ >
▲page top