20.訳出③

今回も訳出です。日本語から英語への通訳を考えてみましょう。例えば、環境問題の話で「オゾン層が破壊されている」という日本語を英語に通訳する際、この「破壊する」は英語でどのように表現すればいいのでしょうか。このまま「破壊」と和英辞書で調べてみてください。
すると、destroy, break up, demolish などの語彙が出てきますよね。「オゾン層が破壊されている」とはどういうことか。成層圏におけるオゾンを多く含む層が「薄くなる」ことが「オゾン層破壊」なわけですから、deplete という動詞がぴったり当てはまります。

オリジナルが日本語の場合、もちろん日本人であれば、普段から日本語の世界にどっぷり浸かっているわけですから、日本語の「音」自体を聞き取ることはまったく問題ありません。が、しかし、よく耳を傾けて、どのような意図・目的で発言されているのかを瞬時に的確に捉えないと、英語に通訳したときに意味不明のおかしな英語が出来てしまう可能性が十分にあるのです。普段から対訳付きの英文を読み込んで英語らしい表現を身に付けておきましょう。

では、工場見学における実際の通訳を覗いてみましょう。神田電機東京工場で、担当者(日本人)がプラントツアーに参加した訪日外国人を相手に日本語で説明をしています。

「おはようございます。神田電機東京工場へようこそおいでくださいました。私は、本日、みなさまを案内致します門田裕次と申します。よろしくお願い致します。」

「おはようございます」を Good morning とだけ通訳するのではなく、工場見学に来たお客さまが目の前にいますので、Good morning, Ladies and Gentlemen と丁寧に通訳しましょう。

「よろしくお願い致します」に相当する英語は、あるようで実はありません。Emailの最後に書く「よろしくお願い致します」であれば、 Thank you in advance が定型表現として使えそうですが、今回の場合ではどうでしょう。工場見学が始まったばかりの冒頭の担当者挨拶部分で、Thank you in advance と通訳してしまうと、かなり違和感がありますね。
ここは、「本日は、皆さまを案内することができて光栄です」という内容の英語にすれば、日本語の「よろしくお願い致します」のニュアンスが出ますよね。
My name is Yuji Kadota. I am truly honored to be your tour guide today. とスマートに英語に通訳してみましょう。

「さて、本日の工場見学の予定ですが、お手元のスケジュールに沿って進めてまいりたいと思います」

「予定」も「スケジュール」も英語にすると、schedule ですよね。「お手元の」ってどう英語にすればいいのでしょうか。次回のコラムまでぜひじっくりと考えてみてください。

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