19.訳出②

さて、前回に続き、通訳における日本語運用能力を考えてみましょう。工場長による簡単な自己紹介の後から続けたいと思います。以下のオリジナルの英語を皆さんはどのように通訳しますか。

Please refer to the brochure you have received at the information desk. If you have any questions during our tour, please feel free to ask at any time.

information desk を「インフォメーションデスク」と通訳していませんか?前回もお話ししましたが、カタカナにすぐに逃げることなく和語を考えてみましょう。ここは「受付」と通訳したいところです。
同様に during the tour も「ツアー中」とカタカナで訳すのではなく、今回は工場見学をしているわけですから「見学中」と通訳してみましょう。
feel free to (do) も辞書を引くと、「自由に~する」と訳がありますが、工場見学に来たお客さまが目の前にいるわけですから、「どうぞ遠慮なくお申し出ください」と丁寧に通訳したいものです。

さて、工場見学も終わりに近づいてきました。

I have given you a rather simplified explanation of how our factory works. Please contact us at the General Affairs Bureau if you want to know more details. This concludes your factory tour. Once again thank you very much for visiting us today.

I have given you a rather simplified explanation を「簡単に説明しました」ではお客さまに失礼です。では、このような状況ではどのような日本語が相応しいのでしょうか。「以上、簡単ではございますが…」がしっくりくる日本語訳ですね。

if you want to know more details も「詳細をもし知りたければ」と通訳してしまうと、かなり上目線からの言い方になってしまいます。「詳細に関しましては…」という日本語がぴったりきますね。

Once again thank you very much for visiting us today. この once again を皆さんならどう通訳しますか。「また再び」なんて訳しても意味不明になりますよね。「改めまして本日のご参加、まことにありがとうございました」と丁寧に締めくくりたいものです。

このように、日本語にこだわることが結局、良い通訳に繋がっていきます。ただ単に「言葉」を訳すのではなく「心」を訳せる通訳者を目指して、日本語をたくさん覚えましょう。そして普段から使っていきましょう。

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