12.通訳者の耳④

さて、最後のSTEP 6です。STEP 1からSTEP 5までで、スクリプトの内容(日本語訳)を理解し、英語の速度にも慣れ、自分でも発音できるようになりました。最後は、ヴィジュアライゼーションです。STEP 1からSTEP 5の訓練のために使ってきたテキストの英語をすべて自分のものにしてしまいましょう。

STEP 6ヴィジュアライゼーション

目を閉じて音声を聞く。
シャドーイングをしている気持ちで。

目を閉じて(寝ちゃダメよ)音声を聞いてみましょう。目を閉じた自分の頭の中にホワイトボードがあると想像してください。そのホワイトボードに、聞こえてくる英語の音をすべてスペルアウト(文字)しながら聞いてみてください。

ある言語音の中から、意味のあるかたまりを聞き取って選び出せる能力のことを「音韻」と言います。「音韻」は現実の音ではなく、「頭の中で音声を聞き取る仕組み」のことを意味します。生まれてからずっと日本語を使っている私たちは、頭の中に日本語の音韻体系が入っていますから、「日本語であれば」誰が話していてもそれを聞き取ることができます。言い換えると、日本語の音韻しか頭の中に持っていなければ、日本語以外の言語を聞き取ることができません。母語の音韻はその環境に身を置いていれば自然とできあがります。しかし、外国語の音韻は、努力なしに身に付くものではありません。

STEP 6のヴィジュアライゼーションで「音」を「文字」にしながら聞くことで、「意味のかたまり」を瞬時に理解できる能力に繋がります。「意味のかたまり」を瞬時に理解することは、通訳には欠かせない能力なのです。テキストのすべての「音」が「文字」になるまで目を閉じて何度も聞いてみましょう。単数形だったのか、複数形だったのか、現在形だったのか、現在進行形だったのか、細部にわたり全ての音を「文字」にできるまでやってみましょう。(寝ちゃダメよ)

STEP 1からSTEP 6までの訓練は、慣れてくれば20分程度で終わると思います。毎日20分であれば一日のどこかで時間が作れるはず。「週末時間のある時に集中してリスニングしてます」なんて言う学生がいますが、これでは効果的とは言えません。毎日毎日英語の音に触れることがリスニング力向上に一番近道です。ここまでご紹介してきたリスニング訓練法を、ぜひ一度騙されたと思って一カ月続けてみてください。耳がキャッチする英語の分量が大きく変わっていることにきっと気付くことでしょう。

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