11.通訳者の耳③

ここまでSTEP 1からSTEP 4までリスニングの訓練方法をご紹介してきました。いよいよ仕上げの段階であるSTEP 5と STEP 6です。スクリプトを見ながら・見ないでのシャドーイングを繰り返してきたところで耳が、英語の自然な速度に慣れてきたと思います。STEP 5のシンクロリーディングに挑戦してみましょう。

STEP 5シンクロリーディング

オリジナルの音声と同時にスクリプトを読む。
何度やっても速度が遅れる場合は、まずは口パクでやってみる。

シャドーイングは音声に「影」を付ける感じでオリジナル音声に少し遅れてスクリプトを読みますが、シンクロリーディングの「シンクロ」とは簡単に言うと、シンクロナイズドスイミングと同じです。シンクロナイズドスイミングでは、一糸乱れず選手たちが水中で同じ動作をしますよね。それとまったく同じ要領で、このシンクロリーディングもオリジナル音声とまったく同じ速度で読み上げます。

なぜシンクロリーディングすることがリスニングに効果的なのでしょうか。ちょっと想像してみてください。「やまださん」という日本語を、最近日本語を勉強し始めたアメリカ人ならばどのように「山田さん」を発音すると思いますか?

おそらく、「やま~ださん」「やっまださん」など、どこか一か所だけ強く読んで発音しそうですよね。 専門用語になりますが、日本語はsyllable-timed languageと言って、ひとつひとつの音節を同じ長さで発音します。「来て」と「切手」では、「来て」が2音節、「切手」が3音節となり、この音節の数で私たちは意味を聞き分けているのです。

一方、英語は stress-timed language と呼ばれ、ひとつの語彙の中でストレスの置かれている箇所だけを強く発音し、あとは「ふがふが」と濁すように発音します。「やま~ださん」では「ま」にストレスが置かれているので「ま」を強調するような発音となっているのです。

どの箇所を強く読んでいるのかが理解できれば、キャッチできる音のバリエーションが増えていきます。シンクロリーディングを行う際には、「自分は外国人」と思い込んで「ボクはライアン」「ワタシはケイティ」と思いっきり勘違いして、それっぼく、つまり外国人ぽく英語を同時に音読しましょう。声に出すのが難しい場合は、口パク(マンブリング)で何度か練習してから声に出してみても構いません。カタカナ発音しかできなかった自分が、英語らしい発音をし始めていることに気付くこと間違いありません。

 12. 通訳者の耳④ へ >
▲page top