7.通訳者の日本語運用能力

通訳業務中の通訳者の頭の中(その2)。前回のコラムでは通訳の流れを非常にシンプルな図で紹介しました。もう一度確認しておきましょう。

スピーカー → 通訳者 → 聞き手

前回は、スピーカーが日本語を話し、それを通訳者が英語で表現する際の語彙力の重要性をご説明しました。今回は、英語から日本語への通訳です。次の英文を前回同様に、声に出して読んで後、すぐに日本語に通訳してみましょう。語彙のヒントも利用してください。

1. Ethics classes play a great role in thoroughly conveying the importance of life and compassion.
※Ethics classes 道徳の授業
2. The Golden Week holiday period started on Saturday and Narita Airports were crowded with people leaving for resorts.
※Golden Week holiday GW休暇
3. The environment should be improved so that diverse human resources will be able to actively participate in society.
※diverse human resources 多様な人材

いかがでしょうか。なんとなく日本語にはなったけど、ちょっと違和感というか、自然な日本語ではないなー、どこかしっくりこないなー、と感じたのではないでしょうか。

1. play a~role という表現を使っています。皆さんであれば、「~な役割を果たす」という意味であることは知っているはず。ここに great が付いていますから、「大きい役割を果たす」と訳してしますかもしれません。しかし、これを自然な日本語に訳す場合、「数」を表す言葉は日本語では文末に置いた方が、収まりがいいので、「道徳の授業が果たす役割は大きい」と訳します。

2. leave for は「~へ出発する」と覚えてしまっているので、「リゾートへ出発する人々」と訳しそうになりますが、ニュース番組では「連休を海外で過ごす人たち」という日本語を使っていますよね。

3. improveが「改善」だから「環境を改善すべき」と直訳してしまいがちですが、「環境」を「整える」という日本語の方がスッキリしますね。

聞き手が、通訳者の訳した日本語を「耳」で聞いたときに、どれだけ違和感なくその日本語を吸収できるのか、言葉のプロであるべき通訳者は常に考えなければなりません。なんでもかんでも「ヤバい」の表現しか使えないようでは、言葉を扱う仕事などできるはずもないのです。

 8. 通訳者は日本語にウルサイ へ >
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